登校拒否の中学生(金井勇太)は、屋久島を目指し、ヒッチハイクの旅に出る。トラックの運転手(赤井英和、麻実れい)や満州帰りの老人(丹波哲郎)に出会いながら、大切な物を見つけていく。 山田洋次監督の「学校」シリーズ最終作。ロードムービーにして少年の成長物語。よくある話であるが、実に味わい深い逸品になっている。 主人公以外の登場人物が魅力的である。家出に失敗した過去を喋ってくれる運転手(赤井英和)、同じく不登校の息子を持つ運転手(麻実れい)、シベリアで戦死した戦友たちのことを思いながら屋久島で一人生きる老人(丹波哲郎)と誰をとっても映画の主人公になれそうな魅力的な人物である。それに引き換え、この映画に登場するサラリーマンは、主人公の父(小林稔侍)にしても老人の息子(前田吟)にしてもつまらない人間である。こういうところに作った人の価値観が現れていて面白い。 説教臭いと思われる面があるかもしれないが、こういう映画を作ってまで若者を導いていこうという努力を、大人が放棄してはいけないのではないだろうか?個人的には、若者皆を引っ張ってきて無理矢理にでも見せたい映画だ。 この作品の隠れた見所は、犬塚弘、桜井センリの二人が丹波哲郎と絡む場面。往年の山田監督のドタバタ喜劇の匂いがプンプンする。是非とも、山田監督には人情喜劇ではないドタバタだけの喜劇も撮って欲しいものだ。 尚、この作品は長い歴史を誇った「松竹大船撮影所」で撮られた最後の作品。こういう撮影所に多くの人材が集って様々な作品を自由に撮れていた時代に負けない良い作品を撮ることはもう難しくなっているのかもしれない。 ![]() にほんブログ村 |
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