東京郊外の小さなどら焼き屋にアルバイトをしたいと老婆(樹木希林)がやってきた。最初は断る店主(永瀬正敏)だったが、彼女の作る「あん」の美味しさに驚き、雇うことにする。・・・ ドリアン助川の原作を河瀬直美監督が撮った。ハンセン病差別というきわどい話題を扱いながら淡々とした静かな作品に仕上げているのは河瀬監督らしい。好き嫌いにもよるのだろうが、差別されて来た側のもっとストレートな怒りの表現のようなものが表面に出てきても良かったのかもしれない。只、現在ハンセン病は感染しないということは最早一般常識に近いものになっているし、いくら食べ物を扱う店だとは言っても、ハンセン病患者が居るだけでばったり客が来なくなるかというと疑問が残るように思う。 作品のテーマが差別問題よりも人間としての生き方に焦点が絞られているようなので、中途半端に世間の無理解という問題を取り上げなかった方がすっきりしたかもしれない。どうしても、熊井啓監督の「愛する」や中山節夫監督の「あつい壁」など差別問題を真正面から取り上げた力作と比べてしまうので、物足りなく感じてしまうのかもしれないが・・・。何はともあれ、この映画を見てハンセン病に関心を持つ人が増えることは非常に喜ばしい。 前科を持つ男の自由を無くした男を台詞少なく演じ切った永瀬正敏の熱演が光る。ハンセン病への無理解から老婆を辞めさせるように勧める店のオーナーを演じた浅田美代子の憎たらしい演技にも注目。 四季の移り変わりを都会の何気ない風景の中に見出し、上品に写しとっている。そして、「隔離病棟」と言われたハンセン病療養所が現在となっては、都市部の真ん中になっていることも改めて認識させられる。 公式サイトはこちら。 |
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